2011年度大阪府への要望項目
大家連発第37号
平成23年8月19日
大 阪 府 知 事
橋 下 徹 様
社団法人大阪府精神障害者家族会連合会(略称:大家連)
会 長 倉 町 公 之
平成23年度 大家連の要望事項について
日ごろより、精神障害者施策の策定と実行にご尽力をいただいておりますことにお礼申し上げます。
障害者自立支援法のもとで3障害統一といわれながら、精神障害者と家族は、福祉、医療サービスにおいて、他障害との大きな格差を抱えながら暮らしております。国の障がい者制度改革に期待するものですが、東日本の大震災など考えますと今後どのように進展するのか大きな不安も抱いています。
当会としましては、府下の精神障害者家族会の意見として府の精神保健医療福祉行政に反映させて頂きたく、次の項目について要望致しますので、見解をお示しください。
(福祉・医療関係)
1、自立支援医療制度の国保者負担なしとする現行制度を継続して下さい。
2、兵庫県など22自治体で実施されている、重度障害者医療費助成制度の精神障害者への適用について、府でも実施して下さい。
3、日常生活支援事業については、実利用者が年々増加しています。事業の拡充を図り、待機者の解消に努めて下さい。
4、精神医療が必要でありながら、本人が混乱し受診を拒否する場合、保健所、保健センターの精神保健福祉相談員は家族の相談を受けとめ、受診まで責任ある介入支援をして下さい。そのための相談員の増員をして必要な訪問活動をして下さい。
5、精神障害者が自宅に引きこもって社会参加が困難である場合、保健所・こころの健康総合センター、地域生活支援センターなどが連携し継続的アプローチを検討されるべきと考えます。
具体的には国が進めようとしている早期、危機介入支援の多職種チーム、アクトなどのアウトリーチサービスの実現を望むものですが、大阪府として、病院だけを対象とするのではなく、診療所などについても検討して実現するように努めてください。また、そのことについての見解を示して下さい。
精神障害者やその家族が「求めていくサービス」と、必要なものについて「届けるサービス」の双方向の充実を希望します。
6、国は社会的入院の解消を進め、大阪府では退院促進事業がとりくまれています。しかし、グループホームなどの地域の受け皿が少なく退院が困難になっていますので、地域の施設の充実について取り組んで下さい。
親も高齢化して自宅での介護が困難になっています。親などの家族支援、家族会支援についても充実して下さい。
7、精神障害者の中でも人格・発達形成に問題をもつ当事者は、短期入院制度のなかで、3ヶ月ごとの入退院を繰り返し悪化の一途をたどっている場合もあります。社会適応障害を主症状とするため、地域のトラブルも多く家族支援にも限界があります。
新たな医療、地域支援策を検討することについて、現状認識と併せて見解を示して下さい。
8、自立支援法のもとで、ゆるやかな作業と居場所が分離されて、利用が困難になっています。以前の共同作業所のような総合的な施設の必要性についてお考え下さい。
9、治療を受けさせ、医療保護入院、措置入院に係わる保護者義務については、医師や精神保健福祉士などによる専門家支援、つまり社会的責任で解決すべきことです。精神保健福祉法の保護者義務の制度については即時撤廃を国に働き掛けて下さい。
10、知事責任である患者移送の申請件数、処理件数の実態と課題を明確にしてください。高額な民間移送業者の存在についての見解を示してください。少なくとも保護者責任とならないようにしてください。
11、国に対して精神科特例を廃止し、むしろ、こころのケアが十分できるように医療体制の充実を働きかけてください。
12、社会的雇用を促進し、精神障害者の雇用促進を大阪府においても一層進めていただき、企業にも雇用促進を働き掛けてください。
13、公共交通機関の運賃割引制度の適用について、JR各社、関西私鉄各社に働き掛けて下さい。
(住宅まちづくり関係)
1、府営住宅単身入居の際、生活音、床の振動についてのトラブルが多く、1階や角部屋の希望者が居た場合に、優先入居権を与えるようにして下さい。
2、府営住宅は競争率が高く入居が困難になっています。精神障害者の住居を確保するため、民間住宅の公的な借り上げ、公的保証人制度などの実現について関係機関に働き掛けて下さい。
3、府営住宅におけるグループホーム開設は、家賃負担の軽減のため欠かせない課題です。今後も優先的にグループホーム住宅を確保して入居率を高めて下さい。
4、以上の3点は市営住宅などにおいても重要と考えますので、市町村にも働きかけて下さい。
(教育委員会関係)
1、精神的な病気の思春期の早期対応、早期支援は教育機関の役割が重要です。また偏見と差別のない病気理解のため、教育従事者や保護者への教育計画を示して下さい。
2、精神的問題をかかえて出席率が低いことから、退学となる事例がまだ存在します。例えば就労者の休職期限は3年である場合が多いように、長期間の療養が必要となる事から、休学期間の延長など、本人・親への支援と特段の配慮をお願いするものです。このことについて見解をお示しください。