大阪府への要望項目(2012年度)

                           平成24年7月25日

大阪府知事 松井一郎 様

社団法人大阪府精神障害者家族連合会

(略称:大家連)

         会長 倉町 公之

平成24年度大阪府への要望事項について

 

日ごろより精神障害者施策の推進にご尽力をいただいておりますことにお礼申し上げます。今年度から、大阪府第4次障がい者計画が実施されることとなり、大きな期待を抱いております。

府の精神保健医療福祉行政に反映させていただく一環として、以下に当会の要望事項を提出しますので、意見交換等の実施をお願いいたします。

 

1.精神科医療

(1)医療が必要でありながら本人が受診を拒否する場合、保健所の精神保健福祉相談員は、受診につながるまで責任ある介入支援をしてください。

(2)引きこもりや医療拒否等で苦しむ本人及び家族を支援する、多職種による訪問型(アウトリーチ)医療制度を早期に実現して下さい。

(3)精神疾病が5大疾病に位置づけされましたが、これに対する府の具体的な取組みを示してください。

(4)身体合併症を持った精神障害者が受診・入院につながるよう、公的病院に精神科を設置してください。

(5)精神科特例の早期廃止を国に働きかけてください。

(6)自立支援医療制度における、国民健康保険加入者負担なしとする現行制度を継続して下さい。また、障害年金及び自立支援医療受給者証の更新時に要する診断書の費用については、自治体で負担することについて検討して下さい。

2.地域生活:当事者が安心して暮らせる

(1)府営住宅におけるグループホーム開設について、他障害の実現率に並ぶように、住居を確保して入居率を高めて下さい。

これについては市営住宅などにおいても重要と考えますので、市町村にも働きかけてください。

(2)府営住宅は競争率が高く入居が困難になっています。精神障害者の住居を確保するため、民間住宅の公的な借り上げの実現について関係機関に働きかけてください。

(3)住居の保証人がいない当事者のための、公的保証人制度の実現について関係機関に働きかけて下さい。

(4)グループホーム・ケアホーム、地域生活支援センター、援護寮、ショートステイサ-ビスなどは、本人が地域で暮らすための受け皿として特に有効なものです。整備を推進して下さい。また、現在の整備状況を示して下さい。

(5)地域で精神障害者を受け入れるためには、地域住民の理解が不可欠です。民生委員、自治会役員をはじめ多くの住民が理解できるような啓発事業の実施して下さい。

(6)今回新設された基幹相談支援センターにおいては、精神障害についても専門的な相談支援が充分行える体制となるよう指導して下さい。

3.家族支援

(1)家族の身体的・精神的健康が過重な介護負担によって大きく損なわれています。家族が健康を維持し有意義な生活が送れるような社会的支援のありかたについて検討して下さい。

(2)当会が実施している家族相談では、家族の抱えている深刻な状況が浮かび上がってきます。家族相談をさらに充実させるため、大阪府において、精神障害者家族の相談員制度を設立されるよう要望します。

(3)精神保健福祉法の保護者義務の制度については、即時撤廃を国に働きかけてください。

4.教 育

(1)精神的な病については、思春期の早期対応、早期支援に果たす教育機関の役割は極めて重要です。教職員への教育においては、家族の体験談を組み込むなど、引き続き充実を図ってください。また、中学生、高校生段階から「こころの健康」についての教育を実施してください。

5.雇 用

(1)精神障害者の雇用を大阪府庁及び公的機関において実施してください。また、企業へも雇用促進を働きかけてください。

6.重点課題「障害者間格差の解消」

身体障害者や知的障害者が既に助成を受けている重度障害者の医療費助成や公共交通機関の運賃割引などについて、精神障害者に対しても同様の助成をお願いします。

3障害同等と言われながら障害者間にも差別があること、これを存置していることは、行政においても差別を容認していることにはならないでしょうか。

(1)重度障害者の医療費助成

北海道、静岡、愛知、兵庫県など約20の道県で精神障害者に適用されていますが、大阪府下の自治体では、ごく一部を除いて実現していません。

障害のため就労につながらない。収入が少ないので必要な医療を受けられない。この制度は、そのような人を救済するためのものではないでしょうか。

精神障害者に対して、他の障害者と同様に重度障害者の医療費助成を適用してください。

(2)公共交通機関の運賃割引

精神障害者への公共交通機関の運賃割引については、大阪市や高槻市の公営交通において実施されているものの、JRやほとんどの民営交通においては実施されていません。

大阪府におかれては、国土交通省、JR、関西大手民鉄等に対しての働きかけを実施するとともに、府独自の助成についても検討してください。

(3)障害者間格差が現存することについて、大阪府の見解を示してください。

「事前に頂きたいデータ」

○ 保健所ごとの年間訪問相談実績

○ グループホーム・ケアホーム、地域生活支援センター等の整備状況

○ 精神障害者の就業状況 ○精神障害者相談支援事業の概要と実施状況